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おおげさな表現をしているわけではなく、本当にスラーヤとインマルサットは衝突している。
正確には係争中、そう裁判で争っているのだ。
争いの焦点はインマルサットが2005年にインド洋上空に打ち上げた第4世代衛星(I4satellite)が
スラーヤインド洋衛星にとって不利益を与えているという点だ。
この裁判は2005年当時メディアにも取り上げられており、現在はニュースになっていないが話が
話だけに解決にはまだまだ時間がかかる見通しだ。
ソマリア上空に打ち上げられ現役としてバリバリ運用中のスラーヤ1号衛星は、インマルサットの技術供与 を得て立ち上げがなされており、そもそもスラーヤとインマルサットは親密な関係であった。2002年 にインマルサットがサービスを開始した衛星初のパケットデータ通信モデムRBGAN(アール・ビーギャン) サービスは、インマルサットがスラーヤ衛星を経由して提供しているいわばコラボ商品であって、 われわれのようなプロバイダやユーザーからしたら衛星通信業界に吹き込んだ新しい風を感じたものだ。 RBGANはヒューズ社が端末開発を手がけており、スラーヤ衛星携帯の端末がヒューズ社であることを 考えるとこのあたりも仲のよさを印象付けていた。
しかし親密な関係の象徴であったRBGAN、ユーザーの評判は決して悪くなかったのだが、現在はとても 下火であり、存在感もとても薄い。 インマルサット自身がブロードバンド対応の次世代BGANサービスを開始したため販売に消極的で あるということも理由のひとつだが、もっとスゴイ理由がある。なんと、スラーヤからまったく同じ 製品仕様で「ThurayaDSL」という商品が発売されたのだ。衛星通信モデム端末や回線サービスも RBGANとまったく同じである。しかも価格戦略に手が込んでいて、端末価格はRBGANの2倍以上、 通信料金は30%安、さらに目玉サービスとして衛星パケットデータ通信では世界で初めてとなる 「使い放題」まで用意されているのだ。
われわれは当初目を疑ったが、インド洋衛星でもめていることなどを考えると無理もないのかもしれ ないと妙に納得してしまっている。 当社に限らず、世界中の多くの衛星通信プロバイダではユーザーからの要望により、スラーヤもインマル サットも両方取り扱いをしているので、そうしたことを見るに両者を静観しているといった様子である。 もちろんインマルサットのご機嫌をとるためにスラーヤの取り扱いを中止にしたプロバイダもあり、 各社の対応が分かれ目でもある。
この話にはまだ続きがあって、インマルサットが次世代BGANサービスを開始したときに、もう ひとつのサプライズがあった。どんなことかというと、BGANサービスの料金体系が、スラーヤDSL そっくりのものだったのだ。価格設定はスラーヤDSLが最大速度144kbps、BGANサービスの 最大速度492kbpsというスペックの違いを考慮してか、若干インマルサットBGANサービスが割高であるが、 それにしても月額料金と通信料金をうまくアレンジして加入者に対し5つの料金サービス体系を取る点は、 スラーヤに挑戦状をたたきつけているかのようである。
スラーヤはこれからインド洋または太平洋に3機目の衛星打ち上げを予定しており、これが実現すれば インマルサットやイリジウムと同じグローバルサービスとして一回り大きな規模でサービスを展開できる。 一方、インマルサットはエイシス(Aces)とのコラボレーションにより携帯電話タイプの衛星電話サービス を開始するため、スラーヤ衛星サービスと完全な競争関係となる。両者のデッドヒートはまだまだ序の口と いったところなのだ。
以上、スラーヤとインマルサットの奇妙な関係について記載したが、ユーザーへの実害ということでいう と影響は特にないのでひとつ安心していただきたい。